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3章 6

Author: 深田あり
last update publish date: 2026-07-19 20:03:38

「「…………」」

 あんぐりと、お父様とお母様があんこうみたいに口を開いた。

 と、廊下からも声が。

「は、はあ!? 何言ってるんですか誠二様!? 頭オカしいんじゃないですか!?

(ひ、ひえええええ! わ、私……え、ええええええっ!?)

 心の声つきだ。つまり間違いなく、七岸さん。

 俺は早速とばかりに手招きする。

「あ、七岸さん。聞いていたの。ささ、こっちに来て」

 ふすまが開かれ、ひょこっと顔を出す七岸さん。しかし即座にお父様がたしなめる。

「こらさつき! 下がっていなさい!」

 だが、そんなの俺が許さない!

「あ、待ってください。七岸さん。本当は君のサトラレを治したら言うつもりだったんだよ。でもこの期に及んでは仕方ないね。今言おう。俺は、市川誠二は、七岸さつきさんを妻に迎えたい! 入地鈴子さんではなく、君を嫁にしたい!」

(え、え……えええええっ!? わ、私……えええええ!? な、何言ってんの!?)

 七岸さんの愉快な反応は置
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  • サトラレメイド   終章 実は悪い子なんです 1

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     夜の帳が下り、月がひょっこりと顔を出すようになった時刻になって、 「お掃除終わりました!」「こっちもです!」   どうやら全員の掃除が終了したらしい。壁にかけられている時計を見ると現在六時。たしか七時から記者会見とパーティをやるんだったな。あと一時間しかない。掃除が予想以上に手間取った。まずい。 「よし、次は準備だ! 作る時間はない。鈴子さん、出前を……」 「ぬかりなくてよ? 近所の柳寿司さんから五十人前注文してあるわ」   鈴子さんはそういってふぁさっと前髪を梳く。やたらかっこよかった。 「流石だね。ただ、どう見ても洋風のパーティなのにまさかの寿司なのか」   洋式のテーブルに純白のテーブルクロス。そして立食。なのに食うのは寿司なのか。   しかし鈴子さんは困ったように頬をぽりぽりと掻き、目を反らす。 「洋食屋さんに出前できる量じゃなくて。お寿司だとこういう時便利なのよ」 「そりゃそうだ」   洋食の出前なんて聞いたこともないからな。おかもちに入らないだろうし。   確かに寿司はこういう時便利だ。そばだと高級感がなくてパーティには向かないが、寿司なら格好がつく。まあうちの使用人にやらせたらそばの方を注文しただろうがね。そばっ食いばかりだし。 「でも洋酒くらいは揃えましょう。グラスを並べましょうね」   鈴子さんはそう胃ってピカピカに磨かれたグラスをテーブルに配膳していく。 「寿司に洋酒……うーん、カオスの世界だ」   正直格好がつかない。どうしたものだろうか。   俺が腕を組み、首をひねっていると、おずおずとさつきさんが挙手をする。 「あの、日本酒の方がよろしいのではないでしょうか?」   確かに日本酒なら似合う。よし、これでいこう。だったら座敷の方がよかった気もするが、今更どうにもならないのでこのまま押し通す。和洋折衷だ和洋折衷。日本人らしくて大変結構ではないか。   鈴子さんもそう思ったようで、ぽんと手を鳴らしてくれる。 「じゃあそっちも用意なさって。あと煙草も揃えた方がいいわね。灰皿も並べて!」 「さつきさん、用意しよう」

  • サトラレメイド   1章 7

     俺は一端土間を出て、外の空気を吸う。もう空は真っ暗で満天の星々がきらきらと輝いている。月は少し欠けているな。   肌をえぐるような凍てつく寒さが俺の全身にまとわりつくが、不思議と不快ではなかった。冬の透徹した空気が俺の肺に入り込む度に心が洗われるよう。   夕飯まで外で体操でもしようか。そう思って屈伸を始めた時、がちゃりと音を立て、七岸さんが出てきた。もう出来たのか? いや、手に何か持っている。円筒状の物体だ。 「あ、七岸さん。それは?」 「見てわかりませんか? 目が腐ってるんですか? クズ野菜などのゴミ出しです。これは裏に置いておけば

  • サトラレメイド   1章 6

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  • サトラレメイド   1章 5

     挨拶を終えた後、俺は七岸さんを地下にある使用人部屋へと案内した。   市川家には大小十五の部屋があるが、そのうち三つが地下にある。三帖一間の小さな和室で、ここを藤高以外の使用人が使っている。 「取り敢えず七岸さんはこの部屋を使ってくれ」  俺はドアを開け、七岸さんを中へと招いた。   七岸さんはトランクを置くと、驚いたようにキョロキョロと見回す。 「個室なんですね」 「ああ、うちの使用人には一応全員個室を与えている。まあ三帖しかないけど、そこは我慢して欲しい。君、学校とかは……」 「女学校は辞めました。言わなくてもわかるでしょ

  • サトラレメイド   1章 4

     その後、部屋や制服への着替えは後回しにし、まずは他の使用人たちに紹介をすることにした。場所は同じ応接室。使用人たちを呼び寄せる形だ。 「えー、みんな、今日から奉公して貰うことになった七岸さん。さ、ご挨拶を」 「七岸さつきです。それにしても成金趣味丸出しのクソ屋敷ですね。相当甘やかされて育ってきたのでしょう。クソですね」 (キャー! どうしてこんなこと言っちゃうのよ! 若様に失礼でしょうが! ああもうこんなこと言ったら嫌われちゃうじゃない! 大事な初日なのに!)   顔を真っ赤にさせ、両手で頬を押さえながら泣き叫ぶ七岸さん。 「「「………

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